社員は、お互い他人ではなく、一緒に働く家族だと明確に宣言したのである。
そんな里親制度は新入社員を教育する親や兄.姉役の先輩社員たちにも、影響を及ぼした。
一緒に過ごす時間が増えることで、心の距離も縮まり、それまで以上に責任感を持って接するようになったのである。
ほかにも同社では、このような家族的な絆を深めるために様々な取り組みを行っている。
「夜会と呼んでいるのですが、当社は社内に和室を設けていて、ビールサーバーがあります。
毎日夜の8時になると、各事業部の人が集まって、交流会が開かれるのです。
部署も違う、年次も違う人たちがお酒を飲みあるテーマについて語り合ったりしています。
ときには役員がホストとして入ることもあります。
ほかの事業部が今どんな仕事をしていて、何を考えているのか、見えてきますからね。
仲間意識も強まります」家族とはどういうものか、おせっかいな関係といえる。
人には心地よい距離感というものがあり、人との距離が遠いと疎外感や孤独感を感じるが、近すぎるとうっとうしさや恐怖感を感じるものだ。
おせっかいな関係とは、ちょっと顔色が悪かった、軽く咳をしたときなどに「どこか具合でも悪いじゃない」と声をかけるような、仲間に対してとても近く、一種過敏な人間関係といえる。
そのおせっかいはときとして負担に感じることもあるが、基本的には温かく安心できる。
厳しい競争のビジネスの世界だからこそ、温かさを求める人が多い。
チームで目標を達成した場合などにも、チームみんなで海外旅行に行ったりするのだという。
その費用も会社が負担する。
人事評価制度にも社員=家族という思想が色濃く反映されている。
「当社の評価の柱は大きく2つあります。
まずは、業績に対する評価です。
いくら利益をもたらしたか。新規事業の企画を出したか。設定した目標に対して、どれだけ貢献できたか?などについて、評価していきます。
もうひとつが人間力に対する評価です。
当社が掲げている『8つの心得』という独自の指標について、評価するというものです。
『8つの心得』は、共に働く仲間に求める指標です。
素直だったり、仕事に対して一生懸命だったり、そんな一緒に働きたくなるようなポイントで評価を下すのです」(A氏)『8つの心得』の8つとは、「一生懸命≒向上心≒感謝.報恩≒礼節≒責任感≒前向き≒素直」「元気な挨拶と笑顔の交流」。
さらにそれぞれ2〜4項目に分かれていて、達成度を評価するのだ。
細分化された項目は「出社時.外出時.帰社時.退社時等、元気に挨拶している」「手抜きやサボりなどとは無縁である」「はいという返事、ありがとう、ごめんなさいなどがしっかり言える」「他人の誹膀中傷や噂話をしない」など、人間性に関する極めて基本的な事柄ばかりである。
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